「スポ-ツ外傷」って何だ?

外傷(Injury)とは、一回の強い力によって生じた身体の異常です。単に創傷(擦過傷や切り傷など皮膚の怪我)だけではなく、打撲・捻挫・脱臼・骨折・軟骨損傷・靭帯損傷・筋肉や腱の断裂など全てを外傷と言います。

スポ-ツが原因となって生じたこれらの外傷を総称してスポ-ツ外傷と言います。外力の大きさ・方向・働く部位・その時の関節肢位・身体側の条件(年齢、個体差など)等々により疾患や重症度が異なってきます。

打撲や捻挫は、軽度のものは放置されるか自分で処置されるために正しい頻度を知ることは出来ませんが、最も多いスポーツ外傷と思われます。統計上最も多いスポーツ外傷は捻挫で、全外傷の約3~4割を占めます。

部位的に多いのは足関節で以下、手指、膝関節、腰部、肩関節、足、肘関節などです。捻挫はややもすると軽視されがちですが、骨折や靭帯損傷など放置されると後日著しい障害をきたすことの多い損傷を伴っていることが少なくありません。

「関節の外傷」は軽視せず、専門医を受診して、これら合併損傷の有無を診断してもらう注意が必要です。スポーツ外傷における骨折は捻挫に次いで頻度の高いものです。

肘関節、前腕、手関節、手、足関節、足などによく見られます。いたずらに固定期間を長くしないで早期の関節・患肢機能の再獲得に努力すべきでしょう。

病院に行くまでのスポ-ツ外傷に対する基本的な応急処置は、まず全身に対する救急処置であり、次に局所に対する応急処置です。頭部や胸腹部に外傷を受けた場合には特に注意深い全身状態の観察(意識障害の有無、ショックの有無)を行うことが大切で、異常がある場合は迅速な対応が必要です。局所の応急処置は「RICE」を基本としますが、詳細は別項に譲ります。(RICEの項参照)