たかが「捻挫」と思う前に(捻挫と靱帯断裂)

スポーツ中に足首(足関節)を「捻る」ことはよくよくあることです。バレーやバスケットでジャンプの着地時に捻ったり、ジョギング中に道路の凹みや思わぬ段差で捻ったり、その他テニス、野球など多くのスポーツで見られます。

このような時、単なる「捻挫」と思っていても「靭帯が断裂している」ことが少なくありません。

靭帯とは、字のとおり「強靭な帯」です。これが関節の中や外にあって骨と骨とを繋いで関節を安定させています。関節に少々強い力が加わっても関節が脱臼しないように守ってくれています。しかし、この「強靭な帯」も非常に強い力が加わった場合には切れてしまうことがあります。これが「靭帯断裂」です。関節を安定させている「帯」が切れるわけですから、関節は不安定になります。

きっちりと治さないと、痛みや腫れが引いても、関節の不安定が残ってしまいます。よく「捻挫する癖がついて」とおっしゃる方がありますが、調べてみますとその多くは過去の靭帯断裂が治っていないものです。足関節で特に多いのは外側の靭帯断裂です。また時には、捻挫と思っていても果部(くるぶし)の骨折を生じていることも稀ではありません。早いうちに整形外科を受診して、正しい診断と治療を受けて下さい。

膝の捻挫も多くのスポーツに見られるものです。この場合も「靭帯断裂」が少なくありません。特に膝関節の中に血液が貯っている場合には「前十字靭帯が断裂」している可能性が非常に高く、この靭帯を切れたままにしておくと、関節のグラツキのために次第に膝関節の他の部分が傷んできますから大変です。(血液が貯っているかどうかは穿刺しなければ分かりませんが強く腫れている時には要注意です。)

足関節や膝関節だけではなく、手指の関節など他の関節についても素人判断は危険です。早期に専門医を受診して下さい。専門医を受診するまでの応急手当てについては、RICEの原則にそって行いましよう。

【予防のために大切なこと】

ケガをしないためには、スポ-ツを始める前に、関節や筋肉の縮こまりを取ることが大切です。ウォ-ミングアップとストレッチを十分に行ないましょう。急に無理をかけずに徐々に身体を慣らしていくことが大切です。 普段から筋肉の力を強くするトレ-ニングと、筋肉の柔軟性をつくるストレッチを行なって準備しておくことも、ケガの予防にとても重要なことです。

準備は身体だけでなく、使用する道具にも必要です。例えば外側の摩耗した靴を履いていれば捻挫し易くなります。自分の身体や技術にあった用具を正しく使用し点検調整を忘れないことが大切です