EEVeTeC ・・・ 「スポーツ痛」5段階解決法

ロブ・ロイ・マクレガー博士/ステファン・E・デベロー共著、宮下充正/武藤芳照監訳、「イーベテックEEVeTeC」から

スポーツに伴う障害のために、病院を訪れる人も増加してきた。しかし、実はそうした人は少数であり、もっと多くの人が、スポーツによる痛みに悩んでおり、自分なりの治療法を試みている。

例えば、テニス肘。スイングする利き腕の肘の外側が痛くなるのが典型的。バックハンド・ストロークのように、肘を伸ばして手首をかえす動作で痛みが強くなる。この障害の発生要因は、大きく分けて3つある。第1に身体全体の回転を使わない腕だけのストローク、第2に不適当なラケットの選択、第3にコンディショニング不足、特に前腕伸筋の筋力不足。このほか、コート面の硬さ、相手の技術レベル、ボールの質などの要因が挙げられる。したがって、何らかの治療で痛みが軽減しても、これらの発生要因が解決されなければ、テニスコートに戻れば再び同様の障害を起こすことになる。また、予防の観点からも、これらのチェックが必要になる。

こうした考え方は、多くのスポーツによる痛みの治療・予防に通ずることである。そして、それを徹底すればスポーツの現場で、家庭で、職場で、かなりの程度、自らの痛みを処理することができるであろう。本書の根幹をなすEEVeTeCの理論は、いろいろなスポーツによる痛み(本書では「スポーツ痛」としている)を、

  • Equipment(用具)
  • Environment(環境)
  • Velocity(速度)
  • Technique(テクニック)
  • Conditioning(コンディショニング)

に分けて、その発生要因と治療・予防対策を考えようとするものである。(監訳のことばから)

非常に良い本だと思います。スポーツをなさっている方には、現在痛みがなくても、予防のためにご一読をお勧めします。(立入克敏)